もう、論文はPDF/Aで保存し、iPaperで表示させる、って方向でどうか、というご提案

Nature Precedings

2007年6月、Nature Publishing Groupが未発表・刊行前の学術論文などを公開・共有するサイトNature Precedingsをリリースしていました。

Nature Publishing Groupが、刊行前あるいは未刊行の学術情報について、研究者が公開・共有・議論しあうことができるコミュニティサイト“Nature Precedings”が立ち上がりました。誰でも自由に自分の未刊行情報を投稿できますが、掲載されるか否かについてはピアレビューではないが審査によって決まるそうです。


刊行前・未刊行の学術情報を共有できるコミュニティサイト“Nature Precedings” | カレントアウェアネス・ポータル

この時、My Open Archiveは開発真っただ中。Nature Precedingsの存在など知る由もありません。まして、カレントアウェアネス・ポータル | 国立国会図書館すら知らない未熟者でしたから。w

…分からないことは沢山あるけど、やってみよう。とにかくやり始めてみよう。


スモールマガジン『ようこそ北へ2008』フラッシュバック2:誰からも愛される罪な男 - 三上のブログ

シュッポロ*1でお話した通り、ともかく海へ飛び込んでみたんです。
飛び込んでみると、意外な程それに関する情報が自然と集まる。勉強になる。面白い。
でもまぁ飛び込んだ時点では知らなかった。もし知っていたら、飛び込むのを諦めていたかも。
時に無知も災い転じる場合もある。


話戻して。
そんなNature Precedingsも1年が経過し、どんな様子かと云うと…

この1年で、475件の論文(やプレゼン資料)が公開され、数千人の読者がサインアップして投票やコメントを加えているとのことです。


Nature Precedings開設から1年 | カレントアウェアネス・ポータル

1ヶ月約40論文の公開。投稿された論文は審査を経て公開されるとのことで、投稿数はそれなりの数があったのだろう。

しかしNatureといったネームバリューとそれによる審査というのは敷居が高い。もっとラフに、自由に自分の研究成果を公開できないのか。そんな考えを具現化した人がイギリスやドイツにいたという話は先日した。

http://jp.techcrunch.com/archives/20080616twidox-is-like-scribd-for-academics-get-500-beta-invites/:image=http://www.crunchbase.com/assets/images/resized/0001/8189/18189v2-max-150x150.png

ここにベータ版を開始するドイツ発の新サイトはTwidoxだ。狙いは、「高品質」資料のオンラインライブラリを作ることで、資料は、学界、リサーチャー、NGOなどのユーザーが作成してアップロードする。

…データ、統計、学術文書、論文など市場のハイエンドに特化していること。また、研究機関との直接協力のような形の古いユーザーにはさほど重きを置いていない。


TechCrunch Japanese アーカイブ » Twidoxは学術向けScribdのようだ。ベータに500人ご招待

ドイツのtwidox - good to know...!

http://jp.techcrunch.com/archives/20080616twidox-is-like-scribd-for-academics-get-500-beta-invites/:image=http://www.crunchbase.com/assets/images/resized/0000/1369/1369v1-max-150x150.png

…英国にも似たようなことをやろうとしているedocr…というスタートアップがある…


TechCrunch Japanese アーカイブ » Twidoxは学術向けScribdのようだ。ベータに500人ご招待

英国のedocr | upload | convert | share


ドイツ、英国そして日本より、新しい形態のセルフアーカイビング加速の可能性 - 坂東慶太のブログ

Labmeeting

米国からは?
そんな疑問が生じない訳ないのだが、スルーしてしまっていた。でも何だか心に引っかかっていたのだが、、ついにこんなニュースが。。しかも当時シュッポロ真っ最中。。

ふつう科学者というのは論文、プロトコル、メモがオフィスに山積みになってて、人に渡すときはPDFで回す。そこでLabmeetingでは、科学者も学生もこうしたPDFを簡単にアップロードして整理・検索・共有できるようなドキュメント管理サイト実現を第一の至上命題としてサイトをデザインした。


TechCrunch Japanese アーカイブ » Labmeeting: 科学者のソーシャルネットワーク

おお。Labmeeting!

http://www.labmeeting.com/signin:image=http://www.labmeeting.com/images/labmeetinglogomed.gif

Labmeeting | sign in

何これ?!

http://jp.techcrunch.com/archives/20080730labmeeting-a-social-network-for-scientists/:image=http://www.techcrunch.com/wp-content/uploads/2008/07/labmeeting-screen-2.png
PDFはエンベッドしたScribdのウィンドウ内に表示となる


TechCrunch Japanese アーカイブ » Labmeeting: 科学者のソーシャルネットワーク

オイオイ・・ (;´д`)ノ

論文のPDFファイルをアップロードして、表示はScribdのiPaperって…日本にも似たようなサービスあるらしいぞ。。w

そんなこと露知らずScribdの連中ったら大喜び。

Labmeeting (http://labmeeting.com) is a new site where scientists, researchers, and students can share and archive scientific and academic content. In addition to scheduling labs and communicating with your partners, you can upload your lab documentation and display it in iPaper!


The Scribd Blog: Labmeeting makes science easier with iPaper!


しかし米国ではこういったサービスが投資対象になるってのが日本との圧倒的違いか。
何なんだろう、この価値観というか何か。誰か説明して下さい。

2008年5月にはシードラウンドでPeter Thiel、Kinsey Hillsその他のエンジェル投資家から50万ドルの調達を完了。


(エンジェルのKinsey HillsはScribdにも出資している)


TechCrunch Japanese アーカイブ » Labmeeting: 科学者のソーシャルネットワーク

もしかしたらKinsey HillsはMy Open Archiveにも出資するかも?!

(ヾノ・∀・`)ナイナイ

ご提案

さてさて、巷では「機関リポジトリに載せるPDFファイルはOCR付が良い。」と謳われています。
PDFは国際標準化(ISO 32000)されましたし、論文はPDF/Aで保存しようという機運が盛り上がっていると思います。

学位論文の保管をPDF(Portable Document
Format)形式に標準化することにより、大学や諸機関、企業では、学生が過去の研究資料を簡単に入手できる、検索可能なアーカイブシステムを提供する
ことができます。ドキュメント保管規格として一般に公開され、広く認知されているPDF形式を使用することで、学生の研究が他の研究者の目に触れる機会を
広く提供することが可能となります。

また、保管規格の標準として認定される予定のPDF/Aも、このPDFがベースとなっています。PDF/Aは既存のPDFのサブセットとして定義されるもので、これまでも長く電子ドキュメント保管のベストプラクティスとの位置付けがなされてきました。


Adobe - 教育向け:アドビの電子学位論文構想

#あ、因みにAはアーカイブのAで、長期保存用のPDFということね。あのAではないよ。w


そこでご提案がエントリのタイトル。
「もう、論文はPDF/Aで保存し、iPaperで表示させる、って方向でどうか」


いや、別にアドビ(Adobe)やScribdのまわし者ではないよ。
いや、別に業界に逆らうつもりもないよ。


こんな提案をしてみると、どんな意見が聞けるかなー、という小さな試みであったりして。。


勿論クリエイティブ・コモンズCreative Commons)のライセンスを付与するってのを忘れずに、ね。

#ま、結局は自分のやっていることを何とか正当化しようとしてるのでは、というご意見も。。X-(

*1:[http://d.hatena.ne.jp/keitabando/20080731/1217516201:title=いざ北へ2008。シュッポロ総集編 - 坂東慶太のブログ]