本のこれから
…出版社がデフォルトで持っているビジネスモデル、すなわち旧来型の著作物などを独占的に占有することによる利益をあげるというビジネスモデルがほころびているからである。
従来型のビジネスモデルであれば、わたしはコンテンツを提供する対価としていくばくかの原稿料をもらう。そして出版社はWeb掲載についての独占的権利を取得する、ということになる。
それに対し、わたしは明確にNoと言った。自分で書いた著作物について、自由に利用したいと主張した。それだけの話である。
別に金儲けのためでも、それによって世界征服をするためでもなく、単に自由に利用させて欲しいと主張しただけである。
コンテンツを独占するのではなく皆のものにするとみんなが得をする
出版社がつまらないビジネスモデルにこだわっていると皆が損をするのである。
ちょっと視点をかえれば皆が得をするのである。
出版社がジョナサン・ジットレインの事例によって新しいビジネスモデルとはどうあるべきか?と気付いた瞬間、正のスパイラルがゆっくりと既存のルールを破壊していくのではないか妄想する。
…『Access Denied』の著者の一人であるジョナサン・ジットレイン(Jonathan Zittrain、WIRED VISION ではジョナサン・ジットレンという表記も多いようです)の新刊『The Future of the Internet and How to Stop It』が発売されていますが、この本は「表示-非営利-継承」ライセンスが適用されており、サポートサイトから PDF ファイルをダウンロードできますし、HTML 版も用意されています。
…著者は書籍を CC ライセンスの元で公開するに留まらず、HTML 版のほうに段落毎にコメント欄を設けて読者からのフィードバックを受け付けているところです。
音楽がNapsterやiPodによって、映像がYouTubeによって配信ルールの思考停止に刺激を与えたかのように、書籍(や論文)も、CCやKindleといったイノベーションによって流通の仕組みにそろそろ変革が起こるのではないか、、いや、もう既に始まっているのだから時間をかけてそのルールは確立・浸透していく気がするし、10年経って現在を振り返ってみた時、新旧ルールの移行時代を過ごしたもんだと涼しげに語っている自分がいたりするかも知れない。
いずれの分野も、力と鍵を握るのはコンテンツ・クリエーター。個、であろう。
そして、その「個」をウェブはエンパワーしてくれるのである。
…「時代の変化」であるデータのオープン化は、持たざる者である個人をエンパワーして、「新しい職業」の一つであるサービスクリエイターとしての生き方に大きな可能性をもたらすのだと信じている。
そう、大前提は「オープンであること」。
だから、HP LabsのMagCloudは、仕組みを創り上げたことには敬意を表するけれど、やはり課金が伴うとどうなんだろうと悩んでしまう。
個人が作成した雑誌をオンラインで販売するサービス“MagCloud”を、米国ヒューレット・パッカード社の研究組織“HP Labs”が提供しています。
掲載希望者は、高画質PDFで作成した雑誌をアップロードするだけで、印刷(オンデマンド版)、販売、代金回収はMagCloud側が代行します。掲載や販売経費は掲載希望者から徴収するのではなく、利用する側の購読料からまかなうビジネスモデルを採用しています。
…どうなんだろう。:-(
…本はこれからどうなるのだろうか、と考えこんでしまった。音楽や映像の著作権が騒がれているが、本家の著作物である本の世界では、あまり問題にならない。もとの原稿がデジタル情報として流通していないため、本を丸ごと複製するのは、このように大きなコストがかかるからだ。つまり本の価格は、このアーカイブ本に見られるように、今や製本の価値にすぎない。
…本のデータもWinnyで流通して、出版業界も「はじめに文化ありき」とか「ちゃぶ台返し(ノ-_-)ノ ~┻━┻ 」とか騒ぎ始めるのだろうか・・・
本はこれからどうなるんだろう、と考え込んでいる人は世の中にいっぱいいる。
論文もどうなるんだろう、と考える人だって結構いたりする。w
考えていたって始まらないから、とにかくウェブの片隅でもがき吠えていきながら、ちょっとづつ変化を促し、どっちの方向が正しくってそもそも今どっちを向いてるのか分からない時もあるだろうけど、あるべき姿を模索しつつ歩を進めたいなぁと思う。