オープンアーカイブ論 〜インディーズ編〜

Re: 論文サイトに対する皆の意見を聞いて - 坂東慶太のブログの続編みたいなものですが、視点を変えてオープンアーカイブ論インディーズ編。

論文サイトに対する皆の意見を聞いて - 坂東慶太のブログにて少々行き過ぎたコメントを記したことに対する友人からのメッセージが強く響いたので。

悪意はなかったつもりだけれど、既存権威に対する対抗心や、既存ルールに対する破壊的メッセージを記してしまったのだが、それに対して彼が穏やかに既存のものと、これから開拓しようとするものとの関係について音楽業界を例えにフォローしてくれた。

音楽業界でいうなら、インディーズレーベルのようなものではないでしょうか。
メジャーでは出せないミュージシャンに比較的自由な環境で発表の場を提供するモノ。
メジャーなミュージシャンでも、原発非難等でメジャーで発禁になった音源をインディーズで出すというのは昔からよくある話です。
メジャー契約切られてから、インディーズで息長く続けるバンドも沢山います。
音楽業界ではメジャーとインディーズは敵対関係ではなく、補完関係です。


そう。僕のスタンスはインディーズレーベルというのが相応しい表現で正しい立ち位置なのかも、と認識。
学会等に所属するフルタイムの研究者が公開の場を持つのに対し、そうではないが研究に取り組む人々の表現の場を提供しようとしているんだから、何も感情的になる必要はないってわけで、深く反省しつつ、こうした認識を与えてくれた友人に感謝したい。


で、この音楽業界で云うところのインディーズレーベル、という言葉を聞いて、ふと思い起こしたのがmF247と創業者の丸山さん。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)第7章に、元ソニー・ミュージックエンタテイメント社長の丸山茂雄さんが音楽配信サイト「mF247」を立ち上げた経緯が記されている。

「僕がやりたいのは、肥大化した「真ん中」をもう一回ひっくり返して、新たなモデルをつくろうということだ」

次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)(二二八頁)
こう決意した丸山さんが、

…悩んだあげくにたどり着いたのが、インターネットだったのである。つまりインディーズの音楽をネットで配信するmF247のビジネスモデルだったのだった。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)(二四〇頁)


「インディーズのものをウェブで」って発想に嗅覚が反応する。そして、冒頭の友人からのメッセージもこの言葉とシンクロする。


音楽というジャンルならOKだけれど、学術情報のインディーズ?とノイズや石を想像して怪訝になられる方もいらっしゃるかも知れない。
しかし、次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)で著者佐々木さんが小飼さんのエントリーを引用してコンテンツの質と量に対する互いが同調した意見を示してくれるが、これまでゼミの先生の研究室や、自分のパソコンのローカルディスクに溜め込まれている情報にこそ価値ある原石があるのかも、と期待してみては如何だろうか。

知的かどうかに関わらず、およそ生産というものは、ゴミの山から宝を掘り出すことではないか。

そして宝の比率が低ければ低いほど、その宝は貴重なのである。

金山というのは、普通の人にとってはゴミの山以外の何者でもない。…

404 Blog Not Found:ゴミなきところに知なし



最後に、次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)(二四〇〜二四一頁)で紹介されている丸山さんのエントリーを読んでみる。

シリコンバレー梅田望夫さんの論文を読みました。梅田さんの論文では、『インターネットの真の意味は、不特定多数の無限大の人々とのつながりを持つためのコストがほぼゼロになったということである。』となっています。

8月18日にmF247という音楽サイトを開設するという発表します。このサイトは、ダウンロード無料、DRMフリーが特徴です。

インターネット上での今の話題は、ソフトコンテンツを誰がどのような方法で、配信するかという事ですが、一方で、不正なコピーをどの様な方法で、防止するかという事です。

ソフトを持っている側は、そのソフトが、不正に使用されない様に、カギをたくさんつけて、泥棒に入られないように警備をしています。確かに、お金持ちは、泥棒に入られるのは心配でしょう。でも、たいして財産のない家は、カギもつけずに、窓を開け放して、隣人が、家に訪ねてくれるのを、歓迎します。

SMEといったメジャーは、蓄積した財産がたくさんあるので、防犯警備を厳重にしないと、心配で、おちおち寝てもいられませんが、インディーズの247ミュージックは守るべき財産もないので、部屋の窓を開け放してもいいのでないかと思っています。

インディーズミュージシャンは、気軽に訪れてもらって、知り合いになってもらいたいと思っています。それを可能にする事の出来る時期が来たと思っています。

mF247の設立のまえがき - 丸山茂雄の音楽予報


梅田さんの著書から刺激と影響を受けた僕も、同じ思想で異なったジャンルにおいて、mF247精神でやりたいこと貫けたら、と、励みのメッセージとして心に刻んでおき、いつかこの想いを大声で叫びたいと思います。:-)