Kindleあれこれ
Amazon.comからKindleが発売されて約一週間。
電子ブック端末。電子ブックリーダー。eブックリーダー。ワイアレス・リーディング端末。ワイヤレス機能つき電子書籍リーダー。…。
Kindleを形容する言葉が業界内で決まりきっていないのは、Amazonが新市場が拓いた証なのだろうか。
Kindle VS LIBRIeやΣBook
日本ではソニーのLIBRIe(リブリエ)はすでに生産中止になっている。本当に、電子ブックマーケットというものはあるのだろうか?
B3 Annex: Amazon.com、ワイアレス・リーディング端末Kindleを発表
とかく比較されがちなSONYのLIBRIe、松下電器産業のΣBookは全く市場に受け入れられなかったことを最近の記憶としている日本人にとって、Kindleの仕様やその(地味な)外観を見ただけでは、Amazonがもたらしてくれるイノベーションがイメージとして分かりにくいのかも知れない。
SONY LIBRIE EBR-1000EP e-Bookリーダー
- 出版社/メーカー: SONY
- 発売日: 2004/04/24
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Panasonic Σbook+64MB・SDメモリーカード ΣbookSET
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KindleとAmazon WhisperNet ≒ iPodとiTS
同類機種比較以上に引き合いに出されるのが、iPodとiTSのAppleビジネスモデル。
Amazonが行おうとしているのは、Kindleというe-book端末と電子ブックデータ販売を合わせたサービスであり、その意味では、iPodとiTunes Storeとまったく同じ構造になっている。
B3 Annex: Amazon.com、ワイアレス・リーディング端末Kindleを発表
これは単なるEブックリーダーではなく、携帯型コンピュータに近い存在ということですね(文中には、"Amazon believes it has created the iPod of reading."「アマゾンは読書版 iPod を完成させたのだ、と信じている」という指摘もあります)。
POLAR BEAR BLOG: 「デバイスではなく、サービス」―― Amazon の電子ブックリーダーKindle
何だか人々がiPodビジネスモデルを想像しちゃうだけのものならつまらない気もしちゃう。
iPhonやiPod touchから(PCを経由せず)直接ダウンロードする、ってところも頂いたアイデアに過ぎないの?
Amazonは業界のeブックのオープン規格をサポートしていない。Amazonが利用しているのは2005年に買収したMobipocket社のテクノロジーだ。
TechCrunch Japanese アーカイブ » eブックリーダー、「Amazon Kindle」が月曜日にデビュー―見場は悪いがスグレモノ
Amazonは音源こそDRM(デジタル著作権管理)フリーだが、コアコンテンツである書籍はiPod同様市場を握る目的でDRMとするのかな?
出版社はまだDRMフリーの書籍を出すところまで準備はできていない。
こればかりは出版社次第です。
TechCrunch Japanese アーカイブ » ベゾスに聞く、KindleのQ&A
んんー。やはり慎重派のベゾス。なか見!発見と同様、ゆっくりゆっくり業界を巻き込んで自分の領域を拓いていくつもりだね。
書籍 > Kindle > 新聞
「ペーパーバックより軽い」:アマゾン、電子ブックリーダ「Kindle」発表:ニュース - CNET Japan
電子化された新聞や書籍がPC必要なくダウンロードでき、本体はとても手軽…こうしたところばかりクローズアップして批判を甘んじているKindleだが、心配するのは新聞や書籍にある手触り感。
SONYのAIBOが本物の子犬の温もりを醸し出せないのと同様?人は幼い頃から愛着を持ち、そもそも歴史の古い新聞や書籍に対して、手触り感の愛着を求める。
付箋紙を貼るとかマーカーするとか栞を挟むなんて行為そのものは機械化で何とかなるだろう。
パラパラめくる。この感覚を備えることができるかがキーになるのでは。
「あ!」と思って「あれ」に相当すると思われる本を探しだしてくる。それをぱらぱらとめくる。ぱらぱらとめくっていると、自分がある本を読んでいて、「あ! あれだ!」となぜか思ったことの核心部分と思われるものが不思議と目に飛び込んでくる。このぱらぱらめくるということの探知能力たるや実に大したもので、かりにその本が「グーグル・ブックサーチ」に全文が収められていても、それをモニター画面上でスクロールすることでは容易に実現できないものであるとわたくしは確信している。
梅田望夫「ウェブ時代をゆく−いかに働き、いかに学ぶか」(5)「知的生活の方法」 - 日々平安録
…ナルホドこういう感覚は、幼い頃から書籍に馴染んだ現代人には染み付いたフローだ。
グーグル・ブックサーチ同様、Kindleにもなかなか搭載できない人間的な部分なのだろうか。
実際私のプロジェクトでも、ブラウザがあれば論文のアーカイブが見れるとか、評価したりコメント付けれたり、SNS的なことが出来たり…と謳っても、電子ジャーナルの利便性や、そもそも紙化された論文誌にはまだまだ追いつかない側面が多々ある(勿論、それをカヴァーする他にない機能やコンテンツで差別化したいのだが試行錯誤)。。
Kindle VS グーグル・ニュースやRSSリーダー
「課金システムとしての Kindle」という方に注目したいと感じているのですが、「Kindle が新聞業界を救う」と主張されている方もいらっしゃいました
POLAR BEAR BLOG: 新聞業界の救世主としての Kindle
(日米の新聞業界事情についてはこちら↑に詳しい)
こういった視点で物事を見つめるのも楽しい。
メディアを支える広告。その収入がテクノロジーのパワーによって変わらざるを得ない瀬戸際に立っているのは事実だ。
一方…
新聞広告売り上げは長々と惨憺たる下降を続け第3四半期で7.4%ダウンとなった。オンラインへの移行も業界の助けにならない(Kindleの登場も、だ)。
TechCrunch Japanese アーカイブ » 減少続く新聞広告
新聞業界は転がり落ちる坂道で、何に救いを求めるんだろうか。
ウカウカしていると、こんなことにもなりかねない。
ページが減るだけじゃなくて記事も削減。
On Off and Beyond: San Jose Mercury紙の没落(スカスカで悲しい)
グーグル・ニュースがリリースされて以来、人々のニュースの接し方は劇的に変化し、その後、新聞というメディアの価値がどんどんどんどん低評となっていく…
有料閲覧していた新聞社のウェブサイトもついに無料化に踏み切られ、下支えしていた広告費はウェブ広告にシフトしていったが為に新聞そのものの存在価値が失われていきつつある現在だ。
僕的には、新聞業界を救うという表現は大袈裟に感じつつも、活路を見出す、新しいビジネスモデルを創り上げるという点で期待する(けど、Kindle衝動買いとまでは気持ちがイマイチ盛り上がらないが…)。
RSSリーダーやグーグル・ニュースを超えるインパクトが備わると期待大なんだけどな。
人それぞれの楽しみ方があっていい。あなたはKindleに何を求める?