巨人たちの肩の上に立つ

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3:image=http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/39/GodfreyKneller-IsaacNewton-1689.jpg/180px-GodfreyKneller-IsaacNewton-1689.jpg


アイザック・ニュートン - Wikipedia

Google Scholarのトップページでもキャッチコピーに使われているアイザック・ニュートンの名言「巨人たちの肩の上に立つ」を、再読了した「みんなの意見」は案外正しいで再発見する。

…あらゆる科学者はほかの科学者の業績に依存している。
ニュートンは「巨人たちの肩の上に立つ」という表現で、科学のこうした側面を指摘した。


「みんなの意見」は案外正しい(一七九頁)

同時期、その言葉を実行に移す勇者がいたことは再読了ながら新発見。

協力と競争の奇妙なブレンドが生まれる土壌は、情報への自由なアクセスを求める科学研究のエーストにある。このエーストは一七世紀の科学革命にまで遡れる。科学的知識の発展を目的に設立されたもっとも古く、もっとも権威ある機関の一つであるイギリスの王立協会が、フィロソフィカル・トランスアクションズ誌を初めて発行したのは一六六五年のことだ。
科学史を振り返ると、この雑誌の創刊は科学の発展に大きな影響を及ぼす決定的な瞬間だった。あらゆる新しい発見はできるだけ広く、自由に行き渡らせるという考えに、トランスアクションズ誌が熱烈なコミットメントを示してきたというのがその理由だ。
王立協会初代事務長であり、トランスアクションズ誌の編集長でもあったヘンリー・オルデンバーグは科学の発展に秘密主義は有害だという考え方を先駆的に広め、新しい理論の創設者、発見者という名声の代わりに、自ら考え出した理論の所有権を放棄するよう科学者たちを説得した。
オルデンバーグは知識というものが持つ独自の特性を深く理解していた。それはほかの資源と違って、消費されて枯渇してしまうような類のものではなく、価値を失うことなく広く行き渡らせることができる。むしろ知識は広まれば広まるほど、その価値が増す可能性は高くなる。知識の使い方の幅が広がるからだ。


「みんなの意見」は案外正しい(一八二頁)

ヘンリー・オルデンバーグとは…

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0:image=http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/52/Henry_Oldenburg.jpg/200px-Henry_Oldenburg.jpg
1665年頃オルデンバークの個人の資金で、Philosophical Transactionsの発行を始めた。科学技術の研究成果がすみやかに公開されるシステムが作られたことは科学史において重要な進展であった。


ヘンリー・オルデンバーグ - Wikipedia

レベルの違いはあれど、共感とともに親近感を覚える。
勿論全く足元にも及ばない存在であるが故に、ロールモデルに相応しい人物と巡り合えて嬉しい気分。:-)

せっかくなのでPhilosophical Transactions誌も見とこう。

イギリス王立協会(Royal Society)は,英語圏では初の査読付科学研究誌となった,Philosophical Transactions誌を,創刊号の1665年まで遡ってインターネット上でアクセス可能にする,と発表した.2006年12月から,雑誌の定期購読者に対してアクセス可能になる.

Philosophical Transactions誌には,科学の広い分野にまたがって話題が提供されており,340年間のアーカイブには,約60000の論文があるという.


【物理学史】Philosophical Transactions 350年分のアーカイブ (Einstein1905 WhatsNew)

2006年9月と随分前のネタを拾ってきてしまったが、下にあるのがアーカイブ化されたPhilosophical Transactions誌。
screenshotscreenshot

いやいや素晴らしい。340年、約6万の論文がアクセス可能。雑誌定期購読者限定、というのがミソだが。。:-p


さて冒頭の話題に戻る。
1665年…今から約340年以上も前から学術情報のオープン化は歌われていたんだけど、以前も言及*1した通り、なかなか色々な問題があって思い通りにならないワケで…

そんな折、id:umedamochioさんのブックマークを眺めていたら、アンテナにひっかかったエントリに遭遇。

研究のオープンソース化というのはまだまだ無理っぽいという気がするわけだ。けれどもオープンソースのような精神はあっていいのだと思うし、すぐに試せる実験のちょっとした小技とか、論文にでてた実験を追試してみたらどうなったとか、学会でかわされるような口コミ情報、論文にするのはしんどいけど間違いなく皆の役に立つだろう情報などが非常にスムーズに研究者間に広がる状態というのは、それこそオープンソースの考え方で作れるだろう。


ひさおの独り言(シーズン3) : 科学の「オープンソース」化

つい先日は、とある大学院生がニコニコ動画をテーマにした論文が話題になった*2んだけど、こんな感じでhismoriya3さんがおっしゃるように口コミで論文がどんどん広まる世の中になるのは時代の風潮で良いことだし、このテーマを引き続き研究対象として取り組む人がわんさか出ると教育・研究の現場も活気づくんじゃないかと期待する。*3

査読なしの研究会(多くの場合、研究会は査読がなく議論を通して研究を深めていく。なので研究会)や全国大会の研究発表では流行り物を例にした研究も多い。


ニコニコ動画を題材にした研究 - 発声練習

おー、、読み応えある論文が一杯。ここから新しいウェブサービスが出てこないワケでもない。楽しみ☆

そしてタイミング良く、学術論文とウェブサービスが一体となった楽しげな論文がいよいよ公開されたとのことで、こちらでもご紹介。:-)

デジタル・ドキュメント研究会で発表した、Shizukuに関する論文を公開いたしました。公開先は筑波大学の機関リポジトリである「つくばリポジトリ」です。


Shizukuの論文が、つくばリポジトリ上で公開されました - 図書館情報学を学ぶ

内容としては図書館情報システムの現状の問題点とその解決方法を提示した上で、新たな図書館情報システムとしてShizukuの機能を紹介するものとなっています。


Shizukuの論文が、つくばリポジトリ上で公開されました - Shizuku 開発ブログ

是非、myopenarchive.orgでも公開ヲ。:-p



…とまぁ脱線だらけのエントリになってしまったのだけど、今も昔も論文を公開していく、先人の知恵にあやかって新しい発想をしている、ってのは皆自覚しているんで、そうした人々をサポートする役回りを担う方としてもそれ相当のニーズを汲み取ってプラットホーム準備していきたいね、ってことを改めて思ったよ、ってこと。


何だか書き足りないこと一杯あるような気がするけど、今日はここまで。

*1:[http://d.hatena.ne.jp/keitabando/20080318/1205788568:title=Scholar's Copyright Project考察 - 坂東慶太のブログ]

*2:[http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20370897,00.htm?ref=rss:title=ニコニコ動画、学術研究の対象に--ユーザーによって淘汰される「タグ」の可能性:ニュース - CNET Japan]

*3:これとは別に、id:umedamochioさんがこのエントリをどんな想いで読み、何を感じたのかとっても気になるので、いつかお会いした時(実現不可能?)にお聞かせ下さい☆