オープン化のススメ(by Anil Dash)
オープン、オープンとクドイのは承知で(笑)このタイトル。;-)
昨日エントリ*1同様、OpenIDまとめのエントリ*2で知ったOpenIDファウンデーションの副会長David Recordon。
OpenIDを追っかけるなら彼のブログDavid Recordon's Blogは必読だね☆
そのDavid Recordonが勤めるSix Apartのチーフ・エバンジェリストAnil Dashがこんな上手い表現でオープン化のススメを云ってくれている。*3
Web上にある「独自のプラットフォーム」を氷に例え、一定の時間は形を保っている氷も時間が経てば溶けて水になり、そしてより良い技術となる、との見解だ。また、Googleによる「Webはプラットフォームである」という考えも紹介。これらから氷の浮いている水がWebそのものであり、氷が溶けることによってWebがより良くなっていくとの考えが読み取れる。
氷が溶けること、即ち「Open化」はゼロサムゲームではなく、誰にとっても新たな価値を生み出すものであると重ねて強調している。
そして、Openとビジネスとの関わりについて「Openの姿勢を貫いていけば、ひとつのビジネスを構築していくことが可能だと思う。考えなくてはならないのは、どういうサービスを提供したいのか、そのためにどの技術を使わなければならないかを、選択していくことなのだ」…
Six Apartのキーマンが語る「オープンの地平」--builder tech day - page3 - builder by ZDNet Japan
因にAnil Dashってどんな人?*4
ダッシュ氏は、Six Apartを設立したベン・トロットとミナ・トロットに続き、Six Apartへ3番目に入社した人物。Six Apartでは、Movable Typeを使ったブログシステム構築に関するトレンドや業界動向を把握する「Professional Network」を担当している。
自身のブログも1999年と早くから開設しており、Six Apartの肩書き以外にブロガーとしても高い知名度を持つダッシュ氏。また、2004年に開催されたSEOコンテストに優勝した人物としても知られている。
「オープン化はゼロサムゲームではなく、誰にとっても新たな価値を生み出すもの」って言葉が響くよね。
特に、人。人の情報。これが個々のSNSによって関係性がウェブ上で関連づけできずにいた。
その状況を打開させる技術仕様がFriend-of-a-friend(FOAF)とXHTML Friends Network(XFN)と呼ばれるもの。
このフォーマットを標準化して採用していくことで、ソーシャルグラフ(友人間の関係を表した相関図)が秩序を形成し、SNS内にある「氷」が「水」に溶け出して上質な「水」を航海することが出来るってワケだ。
例えば、こんなふうに…
ここで重要なのは「信頼性」に尽きると思う。
OpenIDの「オープン」の意味も、視点を変えればこんな捉え方で互いの信頼性をより強固にしようというメッセージとして受け止められる。
…OpenIDを、「新しいサービスができたときに簡単にログインできる仕組み」程度の捕らえ方をすると、あまりしっくりいかない。
「複数サービス間の信頼関係を簡単に結ぶ仕組み」と考えると夢が広がる。
信頼性が拠り所のSNSがソーシャルグラフ化によって雪解けすることによりもたらされるのは「意外性」という想定外の情報に出会える楽しみ。
…検索エンジンの利用方法が一人の人間の頭の中にあるキーワードを頼りに、そのキーワードにマッチする情報を探し出すことに対して、ソーシャルグラフは集合知を利用する為に自分以外の「知」を借りていることから起こる現象です。
これにより今まで検索エンジンやディレクトリー検索では見つけることができなかった、見えない情報の関連性から生まれる「気付き」を得ることができるのです。
id:kawasakiさんもこうおっしゃってるではないか。
意外性が欲しいのですよ意外性が。
更に意外性を求めるなら『人』に関連づけ、…おすすめをしていくといいかもしれません。
amazonの書籍も、インターネット広告も、myopenarchive.orgの学術論文も(笑)、みーんなそろそろ意外性ってやつに期待しだしてきたぞ。
つまるところ昨日エントリとは矛盾した表現になるけれど、自分の為にだけでなくみんなの為にもオープン化を推進したら素晴らしいウェブになるからどんどんアップロードしてオープンにして共有しようよ、ってこと☆
更にThomas L. Friedmanの言葉を借りれば「スコップを持って内面を掘り起こせ。壁を築こうとするな」*5だ。一昔(いや今でもそうだが)Googleに検索されないのは存在されないも同じという捉え方があったが、SNSといったコミュニティ内の人や情報すらウェブの潮流に逆らうことはしない方がヨイだろう、という考え方が必要になってきたのだろう。
最後にこんな脅し文句(笑)を引用してエントリを締めたい。
覚えておこう:データは「新しいリンク」だ。データを外に出さないサイトは何の見返りも得ないだろう。そして最終的には視界から消えていくのかもしれない。
TechCrunch Japanese アーカイブ » データとはつまりは「新しいリンク」。個人データをユーザーが利用できないサイトはつまらない、とTim Berners-Leeは語る
*1:[http://d.hatena.ne.jp/keitabando/20080324/1206359663:title=あなたのデータは誰のもの?(ヒント: あなた) - 坂東慶太のブログ]
*2:[http://d.hatena.ne.jp/keitabando/20080201/1201815332:title=OpenIDまとめ - 坂東慶太のブログ]
*3:ZDNet Japanの記事に誤植発見。Anli Dashの綴り、正しくはAnil Dashだね☆
*4:本日の写真はいずれも伊藤譲一さんがflickrで公開されているSome rights reserved.のものを利用させて頂いた。感謝☆
*5:ISBN:978-4532312800:title(二一三頁)