Chris Andersonの"Free"と、Kevin Kellyの"Better Than Free"の記事を読んで
ベストセラー"Longtail"の著者、Chris Anderson氏の新著"Free"プレビューがWired誌に掲載され、日本語要約があがっています。
B3 Annex: Longtail著者の新作"Free"、Wired誌に先行登場! 6つの無料ビジネスモデルとは?
ロングテールの次の流行ワードは「Free」?|株式会社スパイスボックス|Blog
…彼によれば、"free"には6つの類型がある:
1. Freemium:基本サービスは無料としてプレミアムで課金する
2. 広告:ウェブ上の評判(ページランク)を売る
3. 内部補填:携帯端末を「0円」で売って通話料で回収する
4. 共有:P2Pのように原価が無料のものをシェアする
5. 協働:DiggやYahoo Answersのように互いに労働を提供する
6. 贈与:オープンソースのように無料で与えて名声を得る
ユニークだと感じた論評は次のエントリ。
Chris Anderson氏の"Free"とともに大評判なKevin Kelly氏による"Better Than Free"につながります。
個人的に面白いと思うのは、かつて「無料(フリー)に続け」、「まずはWebに食わせろ」とイケイケだったケヴィン・ケリーが、今年に入って The Bottom is Not Enough でボトムアップだけでは十分ではないと説き、Better Than Free でインターネットでコピーされない価値について説いているところです。いずれも彼の著書の主張を修正するものと言えますが、後者の最後を読むと、ケリーは広告モデルこそがインターネットというコピー機械がもたらす無料モデルに対する唯一の策だと考えているようです。
Kevin Kelly氏による"Better Than Free"はこちら。
"Better Than Free"がどんな概要かって云うと…
Slashdot などで Kevin Kelly の Better Than Free というエントリが話題になっている。
Kevin Kelly の仕事は先月も取り上げたが、今回彼が書いているのは、インターネットというコピー機械において無料化する世界における価値の話だ。
彼はインターネットにおいてコピーされない8つの価値を挙げているが、それらに共通するのは「生殖力のある(generative)」ものとのこと。
おお!翻訳されてる!堺屋七左衛門さん、ありがとう。;-)
無料より優れたもの Better Than Free
…要するに、無料のコピーを売ってどうやってお金儲けをするのか?
私にはその答えがある。簡単に言えば次のようなことである。
コピーが超大量にあれば、それは無価値になる。
コピーが超大量にあれば、コピーできないものは貴重で価値のあるものになる。コピーが無料であれば、コピーできないものを売る必要がある。
さて、コピーできないものとは何か?
コピーできない性質のものはいろいろある。たとえば「信頼」。信頼はコピーできない。買うこともできない。信頼は時間をかけて獲得するものである。それはダウンロードできない。でっち上げることも偽造することもできない。…
要するに、このネットワーク化された経済ではお金はコピーという経路を通らない。お金は注目という経路を通るのであり、注目は行きと帰りの双方向の経路を持っている。
ところでKevin Kelly氏とは…
Kevin Kelly (b. 1952) is the founding executive editor of Wired magazine, and a former editor/publisher of the Whole Earth Catalog. He has also been a writer, photographer and conservationist. Kelly is a student of cultures (Asian ones in particular) and is considered by some an expert in digital culture.
Wired誌の共同創始者、Wired guruと呼ばれています。格好良過ぎる☆
このあたりはあとで読もう。アマゾンのカートへ、と。
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さて、ここでひとまずネタ集は区切り。
evin Kelly氏は"Better Than Free"文末で広告について「無料のパラドックスに対するほとんど唯一の解決策が広告であると広く考えられている。」と述べている。結局は広告モデルこそがウェブ2.0における唯一のビジネスモデルということなんでしょうか。
見渡してみれば、ウェブサービスの殆どは無料で提供するのと引き換えに、広告で収益をあげるというビジネスモデルを採用している。
その先頭に立つのはグーグル。
こんな言葉をふと思い出して引用。
Web 2.0 のテクノロジーは面白いがビジネスモデルとして確固たるものを築けたのは今のところ Google AdSense しかない。
ウェブ2.0でどう稼ぐか。グーグル以外のウェブサービス企業にとっては悩ましい問題であり続けているんだと再認識させられたのが、FacebookのTim Kendallが、Microsoft Mixパネル討論会「Web 2.0 and Beyond: What Is the Business Reality(Web 2.0以降のビジネスの現実とは)」で話した内容とその記事から分かる。
Web 2.0でどう儲けを出すのか?
…
「Facebookで広告を見たことある人は?」と聞いてオーディエンスの過半数が手を挙げるようではFacebookも失敗だというのだ。 要するにFacebookが考える最高の広告とは、ユーザーが広告と気づかない広告なのだろう。TechCrunch Japanese アーカイブ » Web 2.0はどうしたら儲かる?〜Mix '08パネル討論会(録画)
そうこうしてるうちに、グーグルは新たなトップを独走する広告戦略を展開する…
欧州委員会、グーグルのダブルクリック買収を承認:マーケティング - CNET Japan
グーグル、サイト広告管理ツール「Ad Manager」の試験運用を開始:マーケティング - CNET Japan
何だかウェブ広告論になってきましたが(笑)、ウェブサービスをやっていく上ではこういう議論にも引き続き加わっていき、ちゃんと論じれるようになりたいです。
消化不良気味ですが、時間切れにつき本日はここまで。あー、早くKevin Kelly氏の本読みたいー。