著作権とムーアの法則の関係
ミクシィが規約の改正を発表し、その中の18条に関してブログ界隈で大騒動。
本日はこのミクシィ著作権騒動をキッカケに、改めてウェブ上の著作権問題について再確認をしたい。
mixiにも入ってるんだけど、この4月1日に利用規約が新しくなる。
それを読んでmixiを今すぐ止めなきゃ、と思っている。
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オリジナルのイラストや写真、レビューやエッセイなどをUPしてる人、特にプロやセミプロはタダで使われちゃ困るんだよ。
大手SNS mixiの利用規約が4月1日をもって改変されるが、mixi内では著作者人格権の扱いを巡って、大きな騒ぎとなっている。
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この著作者人格権に対する問題は、04年ごろから大手Blogサービスなどを中心に規約改変が行なわれようとしたが、ユーザーからの反発にあって、無事に済んでいるところはほとんどない。
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今月いっぱい、この問題でもちきりだろう。著作権、ほんと使い方を間違えてるよなぁ。
問題は著作権にあり。もう限界なんだ、ウェブという土俵で既存の著作権を前提に議論するのは。。
タイミングよく、立場の異なるお2人が、既存の著作権についてもの申している。
東京大学教授で著作権法学界の第一人者中山氏と、「2ちゃんねる」の管理人ひろゆき氏だ。
http://www.4gamer.net/games/015/G001538/20080301003/:image=http://www.4gamer.net/games/015/G001538/20080301003/TN/006.jpg
著作権法っていうものがあって,人の物を勝手に変えてはいけませんって書いてあるんですけど,そこは納得できない。おまけに,もともと作った人の側からも「著作権法を守るより,面白い物が出来るほうが楽しいから別に気にしなくていいよ」って言い出す人がいる。するともう,既成のルールは無視して,「面白い物ならアリ,ただ,つまらない物を作るんなら,それはよくないよね」って…4Gamer.net ― [OGC2008#03]「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」のひろゆき氏が語る,ゲーム・コミュニティ・文化(シヴィライゼーション4【完全日本語版】)
「著作権制度が想定していない状況に直面し、右往左往している」
「新しいネットビジネスは、著作権を侵害する可能性が高く、著作権法がその阻害要因になっている。今のままでは、ビジネスを萎縮させるか、違法行為がはんらんするか、どちらかになる」
「著作権を侵害する可能性がある新ビジネスでも、単純に拒絶するのではなく、いかに利益を還元するか考えるべき。YouTubeとも手を組んで、利益の一部を権利者に還元すると考えていくべきだろう。ダメだとばかり言っていても、インターネットは止まらない」
今更というか改めてというか、ウェブ時代に既存の著作権が当てはまらないのは周知の事実化しているんだろうけど、こうした影響力ある方の発言は時に重大さを再認識させられるし、どういう思想でウェブ時代に挑めばいいか指南してくれる。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事長も務める東大の中山教授は、こうおっしゃる。
クリエイティブ・コモンズは「著作物のほとんどは商業ベースに乗らない」という前提で、無償でいいから利用してほしいという創作者の要求と、利用者の使いたいという欲求をつなげる試みだと紹介する。
「インセンティブは、創作への参加意識なのか、コミュニティーへの帰属意識なのか――研究を待つ必要があるが、独占を廃して共有し、利益を得るという考え方が出てきている。独占ではなく共有で発展しあう、という考え方に注目すべきだろう」
利益についての言及、コミュニティの帰属意識、独占ではなく賞賛…どこかで見聞きした言葉だ。。
ヘッドとテールではものづくりの動機が違うという事実を知らなくてはならない。一つの経済モデルがすべてに当てはまるわけではないのだ。あるいはロングテールのヘッドは旧来の貨幣経済ではじまり、テールは非貨幣経済で終わると考えてもいい。その中間は、両方が混在した状態だ。
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テールでは、…利益はしばしば二の次とされる。創造の目的は自己表現、楽しみ、実験などさまざまだ。経済的な動機があるとすれば…「評価」という貨幣である。ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略(九六〜九七頁)
動機づけとしてお金はどうなんだ?お金は確かに便利だけれど、ほとんどの人は最終的に人を動かすのはお金そのものじゃないということには同意するだろう。
リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神(一六頁)そんなにお金儲けのことは気にかけない。リナックス・ハッカーたちが何かをするのは、それがとってもおもしろいと思うからで、そのおもしろいものをみんなと共有したいからだ。
リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神(一七〜一八頁)
お馴染みのロングテール論やハッカー論も、前提にはある法則によって成り立っている。
そして著作権の話題が出ると、何故かしら行き着くところ登場するのが「ムーアの法則」。
情報技術(IT)が社会に及ぼす影響を考える上で絶対に押さえておかなければならないことがある。インテル創業者ゴードン・ムーアが一九六五年に提唱した「ムーアの法則」に、IT産業は四〇年たった今も相変わらず支配され続けており、これから先もかなり長い間、支配され続けるだろうという点である。
インターネットにおける10年以上にわたるさまざまなビジネスモデルの実験の結果、ネットにおける無料vs有料の議論は終わろうとしている。(NY Timesの全面無料化、WSJも有料を維持しつつ、無料部分が大きく拡大、Googleに至っては、すべてが無料)
これらは、ムーアの法則によって、マイクロチップの性能が18か月で倍増し(同性能なら半額)になるように、帯域もストレージの価格も下落することが
原因となっているとする。
すべての基礎にあるのが、「価格は限界費用と均等化する」という経済学の原理である。ムーアの法則によって計算資源の価格が極小化したサイバースペースでは、情報の限界費用(複製費用)はゼロだから、その価格も遅かれ早かれゼロになる。競争が働く限り、それを避けることはできない。商品と価格が1対1に対応するという伝統的な市場のルールを、新しい経済原則が破壊してゆくのだ。
ムーアの法則は今後も情報を取り扱う産業を支配続けるんだ、という認識を前提とし、ウェブ時代をどう生き延びるか。
ヒントは自らがあるべき著作権観とインセンティブ論(有償より無償、金銭ではなく評価)を持つことで見いだせるのでは、と思う。
梅田望夫さんがおっしゃる「知と情報のゲーム」をどう楽しみ、どう生き延びるか。
…これから本格的に「知と情報のゲーム」が始まる。
主にパブリック空間を舞台とするウェブ2.0の本質は「経済のゲーム」よりも「知と情報のゲーム」である。
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)(四八頁)
まだまだ試行錯誤は続くが、自分自身の思想をぶつけるいいチャンスだと思って「知と情報のゲーム」に取り組みたい。