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[OA}Re: 論文サイトに対する皆の意見を聞いて

論文サイトに対する皆の意見を聞いて - 坂東慶太のブログをエントリして、もの凄い勢いでお2人からトラックバックを受けた。
こうしたプロジェクトを1人で要件設定し、ウェブサービス化するのはどうしても偏りが出て仕方ないが、ブログにより様々な立場の識者が見解を述べて頂けるので、まるで公式プロジェクトがパブリックコメントを受け付けているような感じで大変為になる情報がどんどん集まってくる。
時間をかけ、惜しみなく知識や提案をエントリー頂いた、id:next49さんと図書館退屈男さんに御礼申し上げます。


id:next49さんには理想の「学術文献を連接点とした学術情報のネットワーク」を図解交えて、且つ3者(研究者、修士・学部生、ソフトウェア開発者)のユーザ視点で整理頂きました。

…オープンアクセスの定義と背景、現状を踏まえた上で、私が欲しいのは、学術文献のオープンアクセスではなく、学術文献を連接点とした学術情報のネットワークが欲しい。学術文献を連接点とした学術情報のネットワークのイメージは、下の図のような感じ。
http://d.hatena.ne.jp/next49/20080126/p1:image=http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/n/next49/20080126/20080126135551.png
ある学術文献があったときにその文献情報をオープンアクセスとし(学術文献自体の配布形式は問わない)、そのオープンアクセスな文献情報を起点として、Web上の記事、コメント、ブックマーク、その文献を入手可能な販売店、サイト、図書館などにリンクを貼る。これによって、その文献情報を連接点として、その文献に関する関連情報を手に入れることができる。

学術文献を連接点とした学術情報のネットワーク - 発声練習


「…私が欲しいのは、学術文献のオープンアクセスではなく、…」とおっしゃられた上での要件ですが、論文に識別番号を持たせてあらゆる情報元とリンクさせて関連情報をひとすくいにすることができるハブ的機能を持ったサービス提案は、図書館退屈男さんのリクエストとも重なるところですね。

何より、id:next49さんがご自身の「論文の探し方と利用の仕方」を詳細に惜しみなくご披露されたのこそ価値ある情報で、こうした行動様式を十分理解した上で、何がサービスとして欠落していて、それを補うことができるのか、という思考が働きます。


そして図書館退屈男さん。

確かに、ゼミのレポートやちょっとしたデータを公開するのに適した場所、というのはないものです。いくらXooNIpsのように比較的敷居の低いアプリケーションがあっても、きちんと論文の蓄積と提供を、しかもそれを半永続的に運用するのはそれなりにコストがかかり、個人ベースでは難しい。かつ外部からのコメント付与などに対応したリポジトリシステムは聞いたこともなし。

そこでオープンなアーカイブを用意する、というのはナイスな発想です。また、外から見ただけですがシステム自体もよくできていると思います。もうちょっと手を入れれば大規模なリポジトリにも対応できそうです。

図書館退屈男: MyOpenArchiveに目を見張った


こんなにお褒めの言葉を頂いて恐縮です。。
もともとの発想に、「学部生や大学院生等の論文や、学会等で発表されたスライドって見たいけど見れないし、せっかくまとめられた資料なんだから、条件付きで公開して共有できれば面白い発見あるかも知れないのに」という考えがスタート地点にありました。
機関リポジトリとは恐れ多くて更に恐縮しちゃうのですが、教育機関が、教育や学生の成果として発表できるプラットフォームになれば、なんて夢想もしなくはないです(笑)。

個人的な希望を言えば、

* 論題や著者名、URLなどのメタデータ部分をDublinCoreなど標準的なフォーマットで吐き出してOAI-PMHで収集できると、他のリポジトリとデータをマージしてOAIsterのような検索サービスで検索ができるのではないか
(何がうれしいのかについては、尾城孝一. "OAI-PMHと図書館サービス −千葉大学附属図書館での事例を交えて−" ライブラリーシステム研究会 2003.6.17(慶應義塾大学三田メディアセンター)の講演録などが分かりやすいです。)
* OpenSearchで外部から横断検索したい
* 認証つきでよいのでAPI等をつかって自分のデータを落としたい

などができるとよりgoodではないかと思います。

メタデータを標準フォーマットに準拠させる、特有の識別子をきちんと持って検索にしろリンクにしろ外部サービスとのシームレスに連携可能とするという点は、孤立したサービスにならぬよう必須項目ということで、不勉強な分とても参考になりました。


また、「研究論文系ソーシャルブックマーク」を念頭に置いた機能についても言及頂きました。これまた大変参考になります。

* 登録は自由
* 自分のwikiページを持てる
* 内部に Community Page が作れる
* ブックマークした内容は公開/非公開が選択できる
「公開」の場合はログインなしでも閲覧可能→サンプル
* RIS, EndNote, BibTeX, MODS, Word2007, Textで引用文献リストを出力可能
* ユーザごとに公開されたブックマーク、タグの更新をRSS1.0で取得可能
もれなくDublinCoreで出力も付きます。
* (利用できるリンクリゾルバがあれば)設定可能
* APIあり(要認証)(APIについての過去記事)
* コードはGNU GPLで公開(でも本物とはちょっと仕様が違うみたい)

加えて、論文の付与される識別子(DOIやCNRI Handle)とリンクリゾルバ*1も、id:next49さんの要件を専門用語でフォローして頂いた感じで、まさに今回2つのエントリーにより理解深まった感です。

最後の「コードはGNU GPLで公開」は、エンジニアとも話をしました。
インドで開発されている統合図書館システム"NewGenLib"が、オープンソースになったと発表されたらしい*2んですが、開発したシステムこそ(使われるのか、ニーズがあるのか怪しいけど)いずれはオープンソースにしたいね、と。これだけでも1つのエントリーとして盛り上がりそうですが、検討事項としたいです。

折角だれでもデータを溜め込める場所ができたのだから、そこも検索の対象としてお客様に提供できる情報を増やすことができれば、という図書館屋の思いが伝われば幸いです。

想い、伝わりましたし、ホント同感です。私自身も教育に係る者として、研究に励んむ学生の為に、こうしたアドバイスを最大限有効活用させて頂きたいです。


ところでid:next49さんの文中にさりげなくリンク書き添えて頂いたエントリーから新たな発見。

…論文をブログのようにTrackbackやコメント(tDiaryでいうところのつっこみ)で評価しようという試みも真面目に取りくんでいます.http://www.plosone.org/

また実験技術や論文などを動画で共有するサービスも始まっています.http://www.jove.com/

どのように「バイオはオープンな感じ」なのかをIT異分野の人へ向けて具体的に紹介


あるんですね…。。でもplosoneってのからは多くを学べそうです。
こうしたサービスを敷居高く感じずに、もっとカジュアルにどんどん公開して、共有・つっこみし合えるサービス開発ができたらという想いを胸に、いい刺激を貰ってプロジェクト進めます。


最後に、このエントリをする直前、新たな情報をコメント頂きました。名無しさん、ありがとう。:-)

NIIでも昨年ごろから「partikle」というユーザ参加型学術情報サービスの開発をやっているようです。

NIIとは国立情報学研究所(National Institute of Informatics)のことで、大学共同利用機関の1つ。
NIIは、271学協会の約1,000タイトルに掲載された約280万件の論文をPDF化しているNII-ELSというサービスを提供しています。

国立情報学研究所は、現在271の学協会から許諾を得て、紙媒体の学協会誌約1,000タイトルに掲載された約280万件の論文本文をNII-ELSとしてPDF化しています。NII-ELSには、一部、大学等の研究紀要の本文PDFも含まれています。

CiNii (NII論文情報ナビゲータ)


そのNIIが開発・運営を行っている参加型学術情報サービスというのが「partikle(パーティクル)」とのこと。
http://partikle.csc.nii.ac.jp/library:image=http://partikle.csc.nii.ac.jp/style/head.jpg

「partikle(パーティクル)」は、国立情報学研究所(NII)学術コンテンツサービス研究開発センターが開発・運営を行っている参加型学術情報サービスです。

0. partikleとは at partikle blog


今や機関リポジトリを構築して論文を公開する、セルフアーカイビングする、というのは欧州だけでなく世界的な流れで、ウェブがそれを後押ししています。

欧州46か国の791大学が加盟する欧州大学協会(EUA)で、オープンアクセスに関するワーキンググループが提示した勧告が全会一致で評議会で採択されたと報じられています。この勧告は、以下のような内容を含んでいます。

・すべての大学がOAI-PMHに準拠した機関リポジトリを構築する。
・所属する研究者に対し、出版時に即時に論文をリポジトリに登録するよう義務付ける。エンバーゴ(猶予期間)は、オープンアクセス化するまでの期間としてのみ認められる。
・各国の大学長会議は助成機関と協同し、研究成果のセルフアーカイビングのための要件を取りまとめる。

図書館に関する調査・研究のページ “Current Awareness Portal” - カレントアウェアネス-R : 欧州大学協会、OAに関する勧告を採択 by chojo


だから考えておきたいのはその次こと。
オープンにされたアーカイブを、どう使えるようにするのか。
plosoneやpartikleが試みようとし、id:higeponさんやid:next49さんやid:naokishibayamaさんや図書館退屈男さんをはじめとするオピニオンリーダーが欲するユーザ参加型。これにより、蓄積された知識の塊が流動性持って新しい何かを創造し得る。
そんなことを考えながらこのプロジェクトで色々なことを試みたいと思います。

*1:識別を代行し、論文本体へのリンクを提供してくれる機能

*2:[http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4861:title=図書館に関する調査・研究のページ "Current Awareness Portal" - カレントアウェアネス-R : インドの統合図書館システム"NewGenLib"がオープンソースに by chojo]