バングラデシュが発信する信号をキャッチする
最近読んだ本、自分のコラムとはてブ、そしてプロジェクト活動等を客観すると、OLPCやRoom to Readに代表される発展途上国への教育支援、しかもITが絡んだ非営利活動にとても興味があるんだなぁ、と振り返ってみたりする。
バングラデシュからの信号
「ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)」「マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった」に多大なる影響を受けて勢いで書いたエントリーに、はてなスターに頼るかどうかは別として、僕が進みたい方向性ってのが色々から刺激を受けて具現化された気もする。
そしてそのエントリーに対してid:sap0220さんがこうコメント下さり、次なる読むべき本が定まった。
個人が何か参画出来る仕組みは無いのか?となったときに、気軽に参加出来る‘仕組み’がオープンな形でたくさんあると良いなぁと思っています。その一歩目の‘仕組み’があれば、たとえ規模は小さくてもいずれ面白い形に変わっていくのでは・・・と思います。
カンボジア支援×はてなスター×リナックスの革命=☆の転送で世の中を変える! - 坂東慶太のブログ
こういう伏線があり、id:tekehikoさんのエントリーで一刻も早く読みえ終えたい気分を抑えきれず一気読みしたのが「21世紀の国富論」。
バングラデシュでは最新技術による教育・医療の改善を目的としたNPOを立ち上げ、大きな収益を上げながら持続的な社会貢献を行うことに成功している。
原さんが2005年にバングラデシュで立ち上げたbracNet。
同じバングラデシュで1983年創設のグラミン銀行。
更にはid:yohmeiさんのエントリーで次に読むべき本まで探し当てることができて、とても気になる存在のグラミンフォン。
これ読んだらkeitabandoさんならたぶんバングラでビジネスをやりたくなりますよ(笑)
うん(笑)。まだまだハッキリ見定めきれる状態ではないが、強い信号を僕のアンテナがキャッチしているのは確かだ。
今こうしている自分自身にジレンマというか、ウズウズした感覚が体内で沸騰しようと懸命に動き回っている気がする。
原さんやジョンウッドやムハムド・ユニスやイクバル・カディーアが、僕のロールモデルとしてどうまとめることができるか、「グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]」を読み終えてからまとめることにしよう。きっと何かが見つかりそうな気分だ。
グーグルが教えてくれるスマートなやり方
ところで話はグーグルの非営利活動に転ずる。ウェブ時代の覇者と呼ばれる彼らの一挙手一投足は、原さんをはじめとした社会企業家とは違った意味で世間の注目を浴びるワケだが、最近は地球温暖化問題・環境問題に対する動きが活発で、それはそれで良いことだし、経済的欲求が満たされた人々が必ず進むべき道を着実に彼らなりの取り組み方で世界を良くしようという試みに、素直に敬意を表したいし、これまた欲張りな僕としても、何か自分もできることはないかと(経済的欲求がそれ程満たされていないにもかかわらず)あれこれ考えるキッカケにもなる。
google.orgの投資先は社会起業家が中心である。対象とする領域は、地球温暖化問題、公共医療、開発/貧困問題。2003年以来、元副大統領のアル・ゴアがグーグルのシニア・アドバイザーに就任しているが、最近は特に地球温暖化問題へ力を入れ始め、最近になって再生エネルギーへの投資を拡大することを発表している。
グーグルが20億ドル以上をつぎ込むgoogle.org:日経パソコンオンライン
「21世紀の国富論」を読み終えたからこそ気になる記事は、グーグルの財団としての活動方針の転換。
ただ面白いことに、グーグル財団はすぐさま方向転換して、営利組織に投資を行う「google.org」をスタートさせた。こちらは非営利組織ながら、新興企業へ投資を行い、そこで得られたリターンはまたgoogle.orgへ還元されるという仕組みだ。
グーグルが20億ドル以上をつぎ込むgoogle.org:日経パソコンオンライン
寄付行為だけでなく、自らの積極的な姿勢を示すことが必要だと再認識させられるし、ユニークな取り組みが新たなマーケットを創り、経済を活性化させる可能性と期待を生み出すので、既存の枠組みも確かに重要なんだが、非営利活動を通じた新しい社会づくりを意識する素晴らしさをその存在感で世の中の一人でも多くに伝えてくれれば、と期待感すらある。
環境に優しい方針や慣習を行うことに対してGoogleが真剣に取り組んでいることは疑いない。
同社はリサイクルやたい肥化を行っているだけでなく、建物を再利用資材で建てていることを自慢にしている。無料の通勤シャトルバスを運行し、従業員がハイブリッド自動車を買う場合には奨励金を出している。
また、Googleは社用車をプラグインハイブリッド車に転換するプログラムを開始しており、また企業最大の太陽発電設備を持っている。同社はPCのエネルギー効率を向上させる取り組みの先駆者であり、社員食堂では放し飼いで育てられた牛の牛肉や、放し飼いの鶏が産んだ卵を使っている。
OLPCのこの先
そのグーグルと、僕のとっても気になるOLPCが、ユニセフと共同事業を立ち上げたこと、ご存じだろうか。
国連児童基金(UNICEF)、非営利団体のOLPC(One Laptop per Child)、米Googleの3者は12月7日(米国時間)、世界各国の子供たちが口述する身近な話を録音して公開し、歴史や文化を保存・共有する取り組み「Our Stories」を共同で立ち上げた。
Open Tech Press | UNICEF:「世界の子供の話」の公開サイト、米GoogleとOLPCが協力
Our Storiesのコンセプト、世界中の人々が格差なしに、言語や文化、環境や経済の壁を乗り越えてコミュニケーションをはかれる世の中にしたい、というメッセージとして僕は受け取った。共同の取り組みはその第一歩だとしても、その第一歩がない限りは理想に一歩も近づけないだろう。限定的な取り組みに終わることなく今後の進展に注視していきたい。
ところでその一員であるOLPC、ついに感動の瞬間を目にすることができたようですね。:-)
ivan krstić · code culture » First OLPC deployment: now it's real.
ジョンウッドから本を受け取ったネパールの子どもたちも、こんな感動を味わったんでしょうね。
ただ、OLPCというかXO自体は色々な問題を抱えているようで。:-(
…$100という値札に脅威を感じた営利企業は途方もなく安いマシンを彼ら自身で開発する競争に参入した。これによってネグロポンテ氏は良く知られたIntelやマイクロソフトのWindowsといった企業との競争に図らずも追い込まれている。
「大いなる志を秘めた小さなラップトップ」 WSJ記事 | OLPC volunteer team, Japan
原さんは著書にて
これからの十数年のあいだにパソコンは終焉の時代を迎えるでしょう
21世紀の国富論(一〇二頁)
と予言し、パソコンの役割に変わるものとして
21世紀の国富論(一〇二頁)
というコンセプトを提唱し、PUCの技術を使って発展途上国の通信インフラを向上する流れが現実のものになりつつあることを踏まえて
一九八ヶ国すべてが、ほぼ同時に新しい技術の利便を受けることができるような世界が実現する
21世紀の国富論(一九一頁)
と断言している。
もしかしたら数年先にXOは存在しないかも知れない。ただ、OLPCのコンセプトは引き継がれ、新たな担い手によって次なるXOが発展途上国の子どもたちの手元に届き、彼らの教育を支援し続けていく世の中が、より加速していくことだろう。
さて、いつものようにエントリーの最後では「じゃぁ僕には何ができるだろう」という言葉に行き着いてしまう。
アイデアが全くないワケではない。地道な活動と最初の第一歩が肝心なことも知っている。
こうして感じたこと思ったことを言葉にすることで、自分のしたいことすべきことが明らかになっていけばいいと思う。