何か大事なことをやめると決める


ウェブ時代をゆく」を読み終えた。
読み終えたと同時に、二度目の読みを始めていて、数多くの僕にとって大事なメッセージにマークが記されていく。


ウェブ上で展開される書評や感想もかなり読んだ。僕の場合、キャンペーンに当選というラッキーはあったものの、とてもとても書評なんて書けるレベルではない。すごい書評が多過ぎて、読み終えてから簡単な感想を書こうなんて思ったけど、なかなかキーボードの上に乗った指がスラスラ動いていかない。


けど、これを読んでガツンときたわけだ。

何かやめることを決めてください。何か大事なことをやめると決めないと、新しいことはできません。この本を「一服の清涼剤」のようにして使っていただくのでも十分なのですが、それを超えて、「生きるための水を飲むような読書」として使うためには、絶対に何かひとつやめることを決めていただかないと。それをやってはじめて、皆さんにとってのこの本は完結するのです。

筑摩書房 ウェブ時代をゆく メイキング・オブ・『ウェブ時代をゆく』



東京に住んでいたら絶対行きたかった刊行記念講演会での一番最後に発せられたメッセージ。
行けなくてよかった(笑)。帰り道、決めることができず帰宅できなかったかも知れない(笑)。


「何かやめることを決めてください」


ガツン

6年前に、「自分より年上の人に会わない」と決めました。若い人と付き合うことにし、それも真剣に付き合おうと思った。CNETで「英語で読むITトレンド」というブログ連載を始め、日本の若い人たちと会う時間を作るようにしました。そのためには時間を捻出しなくちゃいけない。だから、それとひきかえに、自分より年上の人とは、会わないことにしました。もう少し正確に言うと、「お金をたくさんくれる人以外とは会わない」。

筑摩書房 ウェブ時代をゆく メイキング・オブ・『ウェブ時代をゆく』



「本に書こうかなと思って、書かなかった話」であるが故、ウェブ上の書評や感想でこれについてブログに書かれている人は未だあまり見かけない。
今回はここのみに焦点を当て、自分の頭の中身を整理したいと思う。


「何か大事なことをやめると決める」
やめることを決め、時間の使い方の優先順位を変え、好きなことに打ち込む。
ここだけ一点集中すると、なかな解が見つからない、というか、不安が襲いよせてくる。

あるとき、優秀で人付き合いもきちんとこなす日本の若者(二十代後半)と放していて、「明日会社を辞めることになったらまず何をする?」と尋ねたところ、彼は絶句してしまった。きっと頭の中が真っ白になったのだろう。


本書にこんなくだりがある。この人の心境に似てるのだろう。


サラリーマンの多くは、属する組織の名とともに刻まれた名刺を楯にビジネスを動かすことができても、個(自分の名前とブログが書かれた名刺)をもってお金を稼ぐという意識レベルに到底追いついていない現状を(悲観するだけに終わらず)問題提起し、ウェブの力こそが個をエンパワーする、と新しい自由な行き方を提唱されているワケだが、僕自身、少しばかりのアイデアと、技術力を持つパートナーによって出来上がったウェブ(僕の分身)を、「一歩前に出る」勇気と行動力によって、「個」を売り、稼いだ経験があり、

価格の相場が決まっていないところで「能力の取引」をして稼ぐ経験


を体現できたのは、過去のことであれ、これからのウェブ時代をゆく上で貴重な経験だった(し、苦い経験も味わった)。


あれ以来、個をエンパワーするウェブの力に魅了され、もう一段高いところに足を踏み入れてみたいと思い続けていた。失敗もあったが、色々な苦労と難題を過去の経験を元に、今何とか当たらしいプロジェクトの最初のフェーズを乗り越えることができた。


そして…。
僕にとっては次のフェーズに上がる際、この大切なメッセージ「何か大事なことをやめると決める」に対峙する機会が訪れるのではないだろうか。


予想であり、期待でもあるが、僕なりに今立ち上げたプロジェクトの次のフェーズは見えている(と信じ、思い込んでいる)。
目標でもあるが為、とことんやればそこに辿り着ける筈。
その時、きっと何か特別に大切なものに見切りをつけなければ、絶対次のフェーズには行動を移せず、行動を移せないならば、プロジェクトは失敗に終わる、って自覚している。
その境界線に立つことをイメージすると、とても興奮するが、不安もある。
辿り着いていない境界線であるが故、今から心配してどうする?それより突っ走れ!って気持ちと心の中で闘う訳だが。。


全てが想定した通りに進む訳ではないだろうけど、その境界線に辿り着いた時をイメージして、準備だけは心の中で十分考えておきたいと思う。
時間をかけて、書きながらも答えが出てくるのかな、と自分に期待していたけれど、すぐには解が出ないものの、どこに解を出すタイミングがあるのか分かったことはとても大きな収穫、大きな発見だった。


こうやって、本書に書かれている様々な大切なメッセージを、評するのではなく(これはやっぱ無理)、自分に照らし合わせて、自分に合っているところを見つけては自信をつけ、足りない何かを見つけてはそれを吸収する読み方が僕のスタイルな気がして、これも新たな発見。



ところで、その場(講演会)に居合わせていれば、何故書かなかったのか?と質問したいところ(「この本に書こうかなと思って、書かなかった話を最後にします」)ではあるが、「それをやってはじめて、この本は完結する」というくらい大切なメッセージであるが故、それはいずれどこかで語られることを期待して。:-)