カナディアンロッキー


終日、観光。これも研修の一環。氷河を抱いた壮大なロッキー山脈の景観に、ただただ圧倒されっぱなしの一日。
高速道路に入り、目指すは氷河のビューポイントの数々、そしてコロンビア大高原。


広大な自然を絶対に守り抜くんだ、という意思が随所に伝わってくるカナダの取り組みには高速道路の些細な一面でも確認できる。
野生動物が生息する自然の中に敷かれた道路を、やはり動物たちは知らずに渡ろうとして命を落とす過去を反省し、道路下に幾つかトンネルを掘って通り道を作ったり、そのトンネルの暗闇を警戒する動物たちの為に、歩道橋のような渡り道を数億円かけてつくったり。勿論、自然の景観も配慮して。
自然災害についても、自然を心から理解し、尊重する姿勢がある。カナダには森林警備隊という組織があり、様々な環境保護活動を行っているが、山火事対策も仕事の一つ。ただ、自然発生による山火事は、自然界に必要だという研究結果に基づき、敢えて消化活動は行わないという。火事により、凍てついた地面からゆっくりと花が咲き、木々が実をつけ、それらを草食動物が食べて育ち、そして肉食動物が餌食として狙う…自然の摂理を、火事は悪、と勝手に決めつけて人間が消化活動を行えば、これらのサイクルがまわらなくなってしまう。
日本の僕たちの身近な公園や庭などでも、考えもせず、むしろ先入観を持って、自然を破壊しようとしてないだろうか。見慣れた景色を、もう一度違った視点で見直してみたい。

ロッキー山脈に数ある湖の中で、最も神秘的だといわれるモレーン・レイクに到着。ムコウにそびえ立つテン・ピークスの山頂が湖面に映えて本当に美しい。
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聞こえてくるのはカヌーを漕ぐ水音だけ。エメラルド・グリーンの湖面に映るテン・ピークスの勇姿。軌跡を残しながら横切る赤いカヌー。


走行中、天候に恵まれなければ滅多と見ることができない「さかさロッキー」を車内から見事撮影成功:-)
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標高2,030mのサンワプタ峠を越えるとジャスパー国立公園に入る。更に北上するとアサバスカ氷河が見えてきた。その奥に北極を除けば北半球最大を誇るコロンビア大氷原がある。

コロンビア氷原とはカナディアンロッキーにある広大な氷原。 北アメリカの大陸分水界に跨っている。 この氷原は一部がバンフ国立公園の北西端とジャスパー国立公園の南部にある。 面積はおよそ325 km²。氷の厚さは最大約350mである。 1年に7m以上の雪が降る。

出典: フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」

冒険家の植村直己さんが世界で初めてコロンビア大氷原の単独人力横断に成功したという。が、彼は、1982年にアラスカのマッキンリーで消息を絶ってしまう。氷河にあるクレバスに落ちたのではないかという説を聞いて、自然界の美しさと恐ろしさに、静まり返って景色を眺める一行…


緑屋根のホテルに着いた我々は、氷上ツアーの予約時間までコロンビア・アイスフィールド・シャーレーという観光ホテルの2階にあるレストランでバイキングの昼食を取りながら、スノーコーチ乗り場に行くシャトルバスの順番待ち。
そしていよいよ氷河の上まで行く氷河バスに乗車。
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氷河の上に立つ、という何でもないような行為であって、実は二度と経験できないのでは、という喜びを噛み締め氷河の上を歩く。

白色の雪と見分けがつく氷河の色をグレイシャーブルーと云う。グレイシャーブルーの塊が頭上に仁王立ちする様。自然の不思議や興味が胸元で疼きだした気がする。
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コロンビア氷原を後に、バスはバンフへの帰路に。途中立ち寄ったのがペントレイク。神秘的なアクアブルーは、氷河が動いて流れた水が削ったすごく細かい岩のかけらとかが入っているため、光の屈折が起こって、こういう色になるらしい。光のプリズム現象だね。
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最後にボーレイクへ立ち寄った頃、少しづつ雨が降り出して…山の天候は変わり易いっていうけど、早朝から午後までの晴天が嘘のように雨脚が強くなり、バスはバンフへ。
何だか頭の中が自然の壮大な景観でイッパイ。この日見た、全てがカナディアンロッキー、全てが世界遺産。旅の前は全く興味の無かった「世界遺産」への関心。知らないことを多く気づくことができた最良の日でした。